
マラケシュのイヴ・サンローラン美術館へ:Studio KOがつなぐ素材の連続
マラケシュのイヴ・サンローラン美術館では、外から内への移行も建築の考え方の一部である。カール・フルニエとオリヴィエ・マルティが設立したStudio KOは、デザイナーのアーカイブを参照し、曲線と直線の関係や布のさまざまな裁断方法を探った。建物はそれらの観察を、量塊、質感、空間の連続へと置き換えている。
2017年にマジョレル庭園の近くで完成した美術館には、展示室以外にも多くの機能がある。図書館、講堂、書店、カフェが異なる内部の営みを生み、それぞれが来館者、展示物、周囲の都市と独自の関係を持つ。

Studio KOが設計したマラケシュのイヴ・サンローラン美術館のレンガのファサード。 © ERCO GmbH, www.erco.com、写真:Christian Schaulin

張り出した庇と模様を描くレンガ壁に守られた美術館の入口。 © ERCO GmbH, www.erco.com、写真:Christian Schaulin
レンガの質感から静かな表面へ
建築家によるプロジェクト解説には、テラコッタ、コンクリート、モロッコの石の破片を用いた土色のテラゾーが記されている。レンガは地元の供給業者が製作し、テラゾーは地元の石と大理石を組み合わせる。これらの素材は、外部と内部に同じ表面の性格を求めることなく、両者を結びつけている。
この変化は知覚の尺度で意味を持つ。模様のあるレンガ積みは反復する単位と影として読み取られ、より滑らかな床は連続する面として体験される。その間を移動することで、身体は建物の細部に近づく。布への建築的な参照は、衣服を文字どおり表現するのではなく、こうした質感と組み立て方の差異から生まれる。

表情豊かなレンガ積みとYSLのモノグラムを刻んだ石板がある円形の入口中庭。 © ERCO GmbH, www.erco.com、写真:Christian Schaulin

緑のタイルを張った中庭を望むガラス面の前に立つ彫刻。 © ERCO GmbH, www.erco.com、写真:Christian Schaulin
手仕事でつくられた部屋としての中庭
施工会社Bouygues Constructionは、パティオの緑のゼリージュタイルと、ファサードに用いたテトゥアンの伝統的なテラコッタレンガを記録している。これらは建物の素材の個性を成す重要な部分であり、来館者の動線上で直接目にする表面にモロッコのものづくりを持ち込む。
中庭は内部体験の条件も変える。閉じた空間の間に休止を設け、光や天候に連続の中で役割を与える。ここでは手仕事の表面が、その休止をこの建築ならではのものにする。タイルの変化や組積の模様は、美術館の大きな量塊とは別の尺度で細部を提供する。

照らされた衣服と床に映る投影映像が見える暗い展示室。 展示演出:Christophe Martin。照明デザイン:I.C.O.N./Akari-Lisa Ishii。 © ERCO GmbH, www.erco.com、写真:Christian Schaulin

黒い展示室の曲線状の展示台に並ぶ色鮮やかなドレス。 展示演出:Christophe Martin。照明デザイン:I.C.O.N./Akari-Lisa Ishii。 © ERCO GmbH, www.erco.com、写真:Christian Schaulin
建築と展示デザイン
美術館は常設展示空間の演出をクリストフ・マルタンの仕事として紹介している。当初の展示の説明では、衣服の背景は暗く抑制され、スケッチ、写真、映画、声などの視聴覚素材を組み合わせていた。したがって、Studio KOの建築設計とマルタンの展示デザインは、来館者の体験を構成する、異なりながら補い合う部分となる。
来館者はこれらの層を順に体験する。建築の経路が、量塊と表面の異なる部屋を結び、展示はその後、衣服と周囲の視聴覚素材へ注意を向ける。美術館全体の多様な素材構成は、コレクションのために用意された暗い環境へと移り変わる。

美術館の展示に並ぶ、照らされたオートクチュールの衣服と投影されたデッサン。 展示演出:Christophe Martin。照明デザイン:I.C.O.N./Akari-Lisa Ishii。 © ERCO GmbH, www.erco.com、写真:Christian Schaulin

暗い展示室を背景に照らされた、豊かな質感を持つオートクチュールの衣服の細部。 展示演出:Christophe Martin。照明デザイン:I.C.O.N./Akari-Lisa Ishii。 © ERCO GmbH, www.erco.com、写真:Christian Schaulin
内部空間はコレクションも守る
プロジェクトの技術的な仕事は、空間設計と切り離せない。温湿度管理は繊維製品の保存のために開発され、専門的な照明と音響の計画が展示エリアと講堂を支えた。建築家の解説は、保存の専門知識をX-Art、音響をTheatre Projects、照明をI.C.O.Nの担当として記している。
これらのシステムが、一つの建物で異なる過ごし方を可能にする。衣服を注意深く見ること、図書館で学ぶこと、講堂の集まりに参加することだ。美術館の内部の質は、目に見える工芸と、この見えにくい調整の双方に支えられる。素材は部屋の感覚的な性格をつくり、環境制御はその空間が受け止める文化的な活動を支える。

赤い棚とイヴ・サンローランの大きな肖像がある美術館の書店。 © ERCO GmbH, www.erco.com、写真:Christian Schaulin

美術館の出口とガラス扉の横に飾られた額入りのデッサン。 © ERCO GmbH, www.erco.com、写真:Christian Schaulin
グローバルディレクトリー
icönikグローバルディレクトリーでStudio KOを詳しく見る。
出典と参考資料
プロジェクトのアーカイブ写真と照明クレジット:ERCOのプロジェクト用プレスキット。© ERCO GmbH, www.erco.com、写真:Christian Schaulin。

























































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